薔薇と白鳥と、それから。

 

6月23日東京グローブ座

「薔薇と白鳥」観劇してきました。

若干ネタバレもあるかもしれません。これから大阪公演に行くよ!って人はご注意下さい。

 

 

さて、それでは舞台を感想を。

初めて足を踏み入れた東京グローブ座の感想は「舞台近っ」。1階席ということもありましたが、とにかく演者との距離が近い。18回くらい髙木さんと目あった(錯覚)。また前回の記事でも書きましたが、舞台というものに全く触れてこなかった田舎者なので、ステージセットや音響、衣装等の演出面に驚かされるばかりで…ゆっくり物語を楽しめるようになるのに少し時間がかかってしまいました…。

 

最初に現れたマーロウという人物は一言で言うと、けっこうなクズ(笑)窓から部屋に入ってくるという破天荒さと自由人っぷり。そしておもしろそうという理由で偽金を作るもその費用を払えない無計画さ。ただ自他共に認める才能があり、のらりくらりとしているようでお芝居を書くことに関してはかなり熱い情熱を秘めている、なんとなく憎めないキャラクター。良くも悪くもまっすぐ。光くんに合ってるなって思いました。あっ光くんがクズってことではないですよ(笑)

一方で登場時のシェークスピアは想像していたよりもずっと無邪気でチャーミング。悲劇作品が有名なことやその言葉の言い回しからもっとお堅い人物なのかなと思っていたし、何より髙木さんのイメージとのギャップがすごい。ただその明るさの胡散臭さというか、掴み所のない雰囲気も感じられ、彼が何を見てきて何を考えているのか気になってしまう、そんなキャラクター。

二人が演じるマーロウとウィル(シェークスピア)が対照的にはっきりと見えることはもちろん、二人を取り巻く面々も個性豊かでとても演者が9人しかいない舞台には思えない作品の奥行き。役者さんってすごい!

 

事前にHPであらすじは見ていきましたが、予想外に本格的に歴史をなぞっていたので時代背景をとらえられないと内容の理解が難しいところもあるように思いました。宗教的な絡みなんかは特に…久しぶりに世界史選択してて良かったと思った…。

ピリッとするシーンが続く中にもついつい笑ってしまう仕掛けも多く、光くんが言ってたのってこういうことか〜!と納得。観客の反応がダイレクトに演者に伝わって、観客の反応からさらに演者がお芝居を工夫してくれたり間を読んでくれたり、一緒にその空間を楽しめるのって映画にはない舞台独特のものですごく良いな〜と感じました。

 

二幕に移って時代が流れ二人の関係性も変わり売れっ子になったウィルは周りからもチヤホヤされますが、マーロウと二人っきりのシーンではその本心を覗かせます。ラストに向かうにつれて大きく動いていく二人の運命に目が離せません。最後の感情を剥き出しにした台詞の掛け合いは…グッときました。本当に素敵な舞台でした。

 

 

そして光くんと髙木さんについて。

 

光くんは「座長」でした。これは二人のW主演という形になっていますが、このカンパニーを引っ張ってきたのは光くんなんだろうなぁと感じる堂々とした演技でした。台詞量ハンパなかった…。光くんらしいお茶目さも時々見えつつ、自分に正直なマーロウらしくひとつひとつの感情表現が豊か。クリストファー・マーロウという史実の見えにくい人物は演じる自由と難しさがあると思いますが、光くんの中に演じたいマーロウ像がはっきりとあって、「彼はこんな素敵な人なんだ。もっと彼に注目して。彼のことを知って。」っていう役への愛情を強く感じました。今まで光くんの演技は「3年B組金八先生」しか見たことなくて、あの時もすごいと思っていたのですが、改めて光くんの熱量のすごさを体感しました。八乙女光かっこいいよー!!!

 

髙木さんに関しては、まず私が髙木さんを好きな理由のひとつとして、彼の素直なところがあるんですよ。髙木さんて楽しんでるな〜とか、疲れてるな〜(笑)とか、良くも悪くも比較的隠さず出すじゃないですか。それが今回もすごく出ていたと思います。ひたすらひたむきに役と向かい合って、そしてとにかく演じることを楽しんでいるのが見ていて伝わってきました。これは私たちも同じことなんですが、経験のない新人はうまくできない分とにかく一生懸命な姿を周りに見せるしかないんですよね。光くんのような堂々とした座長ではなくても、その明るさが周りから愛され良いカンパニーの雰囲気になったんだろうなと思います。贔屓目ですけどね(笑)

ただ今回はそれだけじゃなくて、えっこれ髙木雄也?と感じるくらい、最初から最後までシェークスピアでした。最初に書いたとおり笑顔の裏に隠されている何かを感じさせる様子とか、最後の本心を露わにした叫びなんかは初舞台とは思えないものでした。演技の上手下手だけではない、ついつい目で追ってしまう惹きつけられるものがありました。そして髙木さん本当に声が良い!顔小さくてスタイルも良いし舞台に映える!!演技の仕事期待してないとか言ってごめんなさい!前言撤回するので髙木さんに舞台の仕事もっとください!!!

 

 

私が都会に住んでいたら2回、3回と見たかったな〜と思います。最初に書いたとおりやっぱり慣れるまでに時間がかかってしまったし、他の方のレポとか見てても「えっなにそれ知らない」というような見落としてしまっている細かな部分とかけっこうあるんですよね。でもパンフレットでB作さんが《演劇ってちゃんと観る目を持つのに、多少の時間がかかるとは思うんです。でも、「もう一度観たいな」「劇場っていいね」と思ってもらえたら十分。演劇に触れるスタートになれば、そんな嬉しいことはないですね。》とおっしゃってくれているように、これをスタートにいろんな作品に触れていけたらいいなと思えました。こんな素敵な場に連れてきてくれた光くん髙木さんに感謝です。

残りの大阪公演も事故なく千穐楽まで楽しんで欲しいです。

 

 

 

そしてこの日の夜、じゃんぷからメールが。

大切なお知らせとはけいとの留学についてでした。けいとについては、やまぺも含めいろんな意見を目にしました。確かに思うところはありますが、結局私たちは常に受け手でしかありません。だったら私はけいとの言った言葉、じゃんぷの言った言葉を信じて、受け入れ、これが9人にとって最善の選択だったと思わせてくれるのを期待していたいと思います。

寂しいよ。でも待つよ。がんばれけいと!!